スルメを見てイカがわかるか!

スルメを見てイカがわかるか!、
これは、養老孟司さんと茂木健一郎さん共著による本であり、
本のタイトルは、ユニークですが、
内容は、あたりまえの常識をマジでお二人が話しています。

まず、タイトルの「スルメを見てイカがわかるか!」について、
養老さんは、このように説明されている。

私が大学に入るまでぐらいは「大学に行くとバカになる」というのは、
世間の常識にあったのです。

イカをスルメにすること、生きて動いているものを止めることはうまくなる。
止まったものを、情報処理することは非常に上手になる。
しかし生きているものをそのものを相手にして扱うことは下手になるような気がします。
・・本文より抜粋

茂木さんの問いかけに、
養老さんが答えるという形で、
話が進行していきます。

養老さんがわかりやすく説明するために、
たとえ話が出てきますが、
実におかしいく、養老さんのユーモアのセンスが光る。

一つ紹介します。
そうとう頭のいいチンパンジーにそうとう頭のいい先生が、
一生懸命言葉を教えて、
覚えられるのは数十語だそうで、
かといって、チンパンジーがバカかというと、
結構立派な知性を持っているという話。

心理学者の先生、
チンパンジーのいる檻の中に、
手の届かないところにバナナをつるした。

そこには、箱を二つ置いた。
先生のもくろみとしては、
箱を重ねて、チンパンジーがバナナを取るのを想像し、
期待したようです。

しかし、チンパンジーは困ったように、
先生に何かを訴えるように見つめた。

何事かと気になった先生が、檻の中に入ると、
いきなりチンパンジーが先生の肩から頭の上に飛び乗って、
バナナを取ったという、
どこが、バカなんでしょうかと養老さんは笑う。

私は思わず、余りにも愉快なので笑ってしまった。
このチンパンジー、先生の上手をいってますね。

笑い終わった後に、考えさせられます。

この本の中で、「手入れの思想」というのが出てきます。
自然というものを取り上げて、
手付かずの自然にも疑問が残ると、
少し手入れもいるよと、
養老さんはいう。

例えとして、子育てを挙げている。

子育ては、そのままでしょう。
子供っていうものは、自然のようなものです。

絶対に、親の思うままにはならない。
仕方ないから、毎日少しずつ手入れする。
教育というのは、つまり子供という自然に、
手入れをするということでしかあり得ないんです。・・本文より抜粋

「手入れ」について、茂木さんも同様の意見を述べている。
友人とのつきあいや、子育て、職場での人間関係、さまざまな場面を通じて、
私たちは、他人というものが自分の思うようにはならないものであると思い知らされている。

様々なつきあいの場面を通して、他人という自分にとっては把握できないものに「手入れ」をして、何らかの変化が生じることを期待することしかできない。・・本文より抜粋

この点について、大いに考えさせられる。
現実に毎日のように、ぶつかる場面である。

茂木さんは、さらに続けます。
自分自身の脳の中に、自分の意識の思い通りにならないものが潜んでいることを認めることから、自分の無意識との対話が始まる。

自分の脳の中で、体験が記憶に収納され、さらには編集されていくプロセスのほとんどは意識が直接コントロールできないことを知るべきである。・・本文より抜粋

最後に茂木さんが養老さんについて語っています。
養老さんは「覚悟の人」であると。

スルメを見てイカを論じることの魅力も危険性も判っている人のことである。
そのようなことが判っている人は、自分の思い通りにいかなかったり、思わぬものにでくわしても動じない。

何事が起こっても、心が動じない覚悟ができている。
そのような覚悟ができているてんにおいて、養老さんは現代では非常に珍しい人であると思う。

このように、書いている。

「覚悟のひと」には、なかなかなれそうにないが、
心構えとして、ある種の覚悟がなければ、
何事もできないことは、理解できる。

データーという、スルメに縛られず、
そこからどう読み解いていくか、
いろんな面から物事を見て、
疑問をもち、見つめ直す事は、
大事な事なんです。

養老さんと、茂木さんのいわゆる師弟関係に見られる、
互いへの尊敬と信頼がよく伝わる一冊となっている。

本書は、
何かにぶつかったり、
停滞した時、
方向性を見失ったりした時、
羅針盤の役目をしてくれそうです。

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