笑いの奥に、人生がある 落語家・柳家小三治

普段は物静か、
冗談はあまり言わない、
一度、高座に上がると柔らかな表情になる、
東西屈指の落語家が落語、人生を語る。

NHK「プロフェッショナル・仕事の流儀」、
落語家・柳家小三治が、登場した。

柳家小三治は、一年中全国を飛び回る。
あくまでも高座に上がることを旨とし、
68歳になった今も、年間200席をこなす、
孤高の落語家である。

その日に話す落語の演目は、
ぎりぎりまで小三治の頭の中にあり、
高座に上がり、客と面して最後に決める。

自分の体調、その日の客の反応、
いろんな要素を考えて、一発勝負である。

「まくら」と呼ばれる前段の部分で、
客の反応を探り、本題に入っていく。
それが、実にスムーズに小三治と客席が、
シンクロしたかのようだ。

小三治は、決して奇をてらわない、
ひたすら淡々と落語を語る。
「笑わせるのではない、
笑ってしまうのが、芸」と、こだわりをみせる。

笑いは自分の中からこみあげるもの、
そうすると、笑いが止まらないんだという。

小三治は、リュウマチと闘う毎日、
風邪は、命とり真夏でも厚着である。

「人生すべてが、落語に出る」、
その人柄を聞きにくるようなもの。

小三治は、自分の生真面目さを劣等感と感じている。
際立つような存在感をもっているとは、思っていない。

自分の体調を考えて、
決して無理に声をはることをしない。
「背伸びをしない」と心に、
明日もあることを忘れない。

小三治が落語に臨むとき、
ほとんどが黒の紋付で上がる。
落語家本人は、姿を消してもらって、
落語の中の登場人物を印象付けることに気をくばる。

小三治は、父が高校の校長であったことの反動で、
高校では、落語研究会に入り、
ラジオ番組で、15周連続で勝ちぬいた。

大学へ進学せず、親の反対を押し切って、
落語家の内弟子として入門する。

師匠は、5代目柳家小さん(後に人間国宝)。

入門後、落語の技法を勉強し、4年後本格的に、
高座に上がるようになり。
やがて17人抜きで真打ちとなる。

そんな、小三治に師匠小さんのきつい一言がずっしりとこたえた。
「お前の噺は、おもしろくねえ」と、
突き放すようにいわれた。

技術を磨き、精進してきた小三治にとって、
それは、全否定されたに等しい。

そこから、小三治の葛藤が始まり、
映画、芝居といろんな分野のことを勉強する。

小三治は、そんな中無理に面白くしようとせず、
素直に自然体を心がけようと気づく。

やりたくって入った道である。
小三治は、大学へ行かなくともどうにか生きていける。
今の自分に、明日の自分を追い越そう、
そう心に期するのである。

常に自分に言い聞かせることがある。
一番下から物を見ないと落語は出来ない。
病気になり、人のありがたさに気づき、
人生の痛みも知った小三治。

人間はなぜ、笑いを必要とするのか?
小三治の答えはこうである。
「笑っている自分が好きなんじゃない」と。

68才の小三治にとって7日間寄席のとりを務めるのは、
大変きついことであるが、あえてそれに挑戦する。

常連客で埋まる狭い客席、
厳しい客と対峙することで、
自分をきわめようとする。

笑わせようとすると、落語があれる、
小三治の何気ない一言に奥深いものを感じる。

体調が悪く思うように考えがまとまらないときでも、
小三治は、客席にいる客にはげまされ、
それがささえで、やってこれたという。

小三治ほどになっても、
高座に上がり、客席の期待感に、
押しつぶされそうになることもある。

慌てず、自分に呟く「小さく、小さく」、
受けようとする気持ちのたずなを締める。
自分を素直に出そうと決めた。

小三治は、今の自分に必死だといい、
周りの評価があがろうが、
常に、自分に厳しく高みを目指す。





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  • 飄々の人、孤高の人

    Excerpt:  今週のNHKテレビ「プロフェッショナル 仕事の流儀」は 「笑いの奥に、人生がある 
~ 落語家・柳家小三治 ~」。 小三治師匠に密着した60分だった。      ◇ 「笑わせるものじゃない、 つい笑.. Weblog: 富久亭日乗 racked: 2008-10-16 20:59
  • 孤高の落語家:柳家小三治さん

    Excerpt:  NHKテレビ「プロフェッショナル 仕事の流儀」は「笑いの奥に、人生がある 
~ 落語家・柳家小三治 ~」。http://tb.bblog.biglobe.ne... Weblog: 弱虫わんこ&にゃんこ racked: 2009-04-04 09:01