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灘校教師 橋本武さんが、 中学の3年間、じっくり読みこむ”スローリーディング”という手法で、 中勘助著「銀の匙」を使い、一冊の本を読みこむことを子供たちに教えた。 TVをみて、中勘助著「銀の匙」を買い、 先日、読了した。 内容は、中勘助の伯母さんの無償の愛につつまれて過ごした少年時代の思い出を自叙風に書いたもので、この作品では、こども自身の感情表現が素直に描き出されている。 冒頭にこの本の紹介がされていた。 それが、あまりにもその通りに、 こども自身の感情表現で描かれていることに感動する。 和辻哲郎さんの解説をよみ、さらに納得したことがある。 中勘助の良さを世に知らしめたのが、 あの夏目漱石だという。 夏目も中の「こども自身の感情表現」を大人が、 大人になった視点ではなく、あくまでも、 素直にこどもの心、そのものを表現している点を高く評価した。 それを出来るのは、中勘助をおいてほかにないと、 前篇がでたときより、後篇が出た時のほうが、 夏目漱石は、高い評価をした。 和辻哲郎さんが、このように書いています。 「銀の匙」には、不思議なほどあざやかに子供の世界が描かれている。しかもそれは大人の見た子供の世界でもなければ、また大人の体験の内容に回想されたこども時代の記憶というどときでもない。それは、まさしく子供の体験をして子供の世界である。・・巻末解説より 和辻さんは、通例だと大人は子供の時代のことを記憶しているつもりでいるが、実は子供として子供の立場で感じたことを忘れ去っているのである。中略 大人の複雑な心理を描くよりよほど困難なのである。こうなると描かれているのはなるほど子供の世界に過ぎない。しかしその表現しているのは深い人生の神秘だと言わざるを得ない。・・解説より 私は、和辻さんの捉え方を素直に受け入れることができた。 元・灘校教師 橋本武さんが、灘校の生徒にいいたかったのも、 この点にあるのかなぁと思う。 大人になっても子供のころのことを子供の気持ちで描ける大人かぁ、少なくとも私には出来ないことです。そして、改めて、「銀の匙」を3年間かけて読みこむことをした橋本さんの思いをもう一度よく感じとってみようと思う。 再読します。 中勘助著「銀の匙」 |
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