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help RSS 情熱が、ビジネスを動かす 広報・PR伊藤美恵

<<   作成日時 : 2011/03/01 11:23   >>

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今、ファッション業界もだだ新作を発表すればメディアが食いつき売れる時代ではないし、パリコレ、ミラノなど世界の名だたるコレクションの影響力も変化し、多岐にわたるメディア媒体が存在、効果的に情報を発信、より身近に消費者に感じてもらい、こちらの思いを伝えることが大変重要になってきている。その仕事=広報・PRに自らを捧げる一人の女性がいる。

NHKプロフェッショナル「仕事の流儀」に、広報・PR伊藤美恵が登場し、“智恵と工夫”で売上アップさせ、「消費者の心をつかむ秘密」を私たちにつたえてくれた。

広報・PR伊藤美恵の仕事場は、東京・恵比寿のオフィスビル。出勤すると自分のデスクに直行し、国内外からくる多くのメールをチェックする。それらを事前にプリントアウトしてもらう。伊藤は、自らアナログ人間だといい、コミュニケーションの基本は、“Face to Face."といいきる。

伊藤は、国内外の企業と広報・PRの契約を結んでいる。ファッションブランド以外に、酒造メーカーや食品チェーンなどいろんな業種をクライアントにもつ。

有名デザイナーの広報の一切を取り仕切る。今回、来日したデザイナー・ビビアン・ウエストウッドのインタビューをあえて伊藤は、大手新聞社の文化部を対象とし、人数をしぼった。彼女が訴える環境への心遣い、人柄を伝えるために、メディア側との距離を近いものに設定し、身近に感じてもらう作戦にでた。

伊藤の仕事は、通常のPRに留まらず、新規顧客の掘り起こし、企画そのものへの参加、ブランドイメージそのものにも関わる。そういう仕事をヨーロッパでは、「アタッシュ・ドゥ・プレス」と呼ばれ、尊敬をうける仕事としてその地位が確立されている。伊藤は、長年の仕事が評価され、フランス政府から、芸術文化勲章を授与されている。

広報・PRで伊藤の一つのこだわり、それは、「眠れる宝を掘り起こす」である。企業側が気付いていない、こんな所があったんだ、それが勝負できる要素になるんだと、掘り起こしてみるのである。以外と近くにいすぎて気付かないことを、伊藤は進言する。

5年前、ファッション通販大手の企業イメージが価格の安さだけが先行していた。それを何とかしたいというクライアントの意向をうけ、伊藤は通販会社の商品の再チェックをし、新たな持ち味を見つけ出した。それは、”着まわしがきく”
商品だと確信した。

インターネットを活用し、多様なコーディネイトが可能であると訴えた。それによって、雑誌にも取り上げられ、メディアへの露出もふえた。

昨年12月伊藤に大きな仕事の依頼があった。ファストファッションの激戦地・渋谷に若者に人気のブランド「FOREVER ]]T」が進出することになり、その広報・PRの仕事を伊藤に託された。

伊藤の広報戦略は、“感情を伝染させる”ことにある。“可愛い”“たのしい”“ビックリした”という、感情の連鎖を引き出す作戦だ。まず、店の前に長い行列をつくること。人の興味をひくために、売り場でのアーティストのライブの告知を駅前でのチラシを活用し、行列をつくる。それだけでは足りない。

さらなる仕掛けとしてモデルをマネキンにしたて、来店した若者たちに“びっくり”を感じてもらおうと企画した。そのために、モデルの衣装、メークに徹底的に伊藤はこだわった。生身の人間臭さを消すために。作戦は、見事成功し、若者たちは、驚きと楽しさを感じ、ツィッターなどでつぶやき始めた。

伊藤の仕事でクライアントと会う時の服装へのこだわりがある。まず、目立ちすぎない色。黒を着る機会が多い。そして、なんだあの人がやるのかと、不安を感じさせない程度のお洒落感も大切にしている。人に対するマナーには、神経をつかう。根幹にあるのが、クライアントとのコミュニケーションが不可欠だという考え方がある。

“情熱をもって話す”だから椅子に前のめりに坐り、思わずのりだすのである。

伊藤は、ある自治体の招きで地域の活性化について講演を依頼された。市の観光課の思惑と違い、観光客の数が伸びないという悩みを抱えていた。お金をかけないで、情熱をつたえることを伊藤は強く感じた。地元の人に、自分の地元を語ってもらった。

いろん人が、地元の良さをアピールする。その熱い気持ちが参加者に伝播し、地元の魅力の掘り起こしに繋がった。根幹にある“熱い気持ちを大切に”が、表れた現場を伊藤は、体感した。

こんなタフな伊藤だが、落ち込む時はないのか?
くよくよもするが、任された責任上、仕事場に行きたくない時もある。「あー」と叫び、その後はしょうがないかと気持ちを切り替える。伊藤は、毎年元旦を弟夫婦と静岡で過ごす。弟は、音楽家・高橋幸宏である。そこには、オフの穏やかな伊藤の姿があった。

広報・PR伊藤美恵の人生は、アップダウンの激しいものだ。目黒に裕福な家庭の5人姉弟の長女して生まれ、海外のファッション・映画に夢中になり、ファッションの専門学校をでて、25才の時人気ブランドに就職した。しかし、父の失職を機に自らカジュアル・ファッションの店を立ち上げ、70年代、川久保令、山本耀司などデザイナーズブランドの時代。死に物狂いで働いた。人気店となり順調にいっていた。

だが、取引先の連鎖倒産に巻き込まれ、4億の負債を抱えることになった。会社の後始末に追われる。その頃、同じ時代に山本耀司らは海外に進出し、脚光を浴びていた。くやしかったし、つらかったが、歯を食いしばった。やがて、伊藤はブランドの裏方へと転身する。

契約している相手ブランドのデザインをしたり、プロデュースしたり広報の仕事に邁進した。48才の時、山本耀司の仕事をてつだわないかと誘いをうけた。“若い都会の男”というイメージで、服もいい仕上がりだし、「直球のデザイン」だと伊藤は感じた。だが、その狙いが上手く若者たちに伝わっていないことがわかる。

商品開発に問題は考えられない。スタッフの広告の打ち方に問題があるのではと考えた。山本の前衛的なイメージが前面に出た広告をうっていた。伊藤は、山本に直談判し、若者向けのファッション雑誌に広告をだすように進言した。「見せ方」「伝え方」が違うと。結果、売上が伸び始めた。

50才で広報・PRの仕事に戻る。しかし、クライアントとの契約は、永遠に続くものではない。結果が求められる仕事、突然契約を打ち切られることもある。それでも伊藤は、常に前向きだった。66才になった伊藤は、広報の専門家を育てる学校を立ち上げた。

新たな仕事についた伊藤。冬に20周年をむかえるベルギーのファッションブランドの広報の依頼を受けた。クライアントの期待は高く、伊藤の真価が問われる。百貨店を中心に80店で展開されている。客層であるキャリア・大人の女性から客層の拡大をはかりたいというクライアントの意向がある。

しかし、全面的にイメージを変えるのではなく、今までの顧客を死守しながらも、新しい客の取り込みをしようという大変エネルギーのいる依頼をうけた。まず、商品の魅力の掘り起こしにはいった伊藤。デザインの素直さ、おしつけのなさ、いろんな着こなしができ、世代をこえる可能性を感じ取った。

問題は、どうマスコミやバイヤーに印象づけるかである。伊藤は、斬新な提案をした。一つの服を使い、20代、40代、50代の三つの着こなしのパターンを用意した。三つの美しさを映像で表現しようというもの。

伊藤は、クライアントとコニュニケーションをとり、自分たちがどう自分たちのブランドを見ているか、内部の人に訴え、自分のブランドに自信をもってもらう。イベントを行ったら、契約は終了する。終わった後、こんなによくやったと言ってもらえることが広報の仕事。

各世代別のイメージにそってモデルのオーディション。ここでは、あえて若いモデルで各世代を表現する手法を取った。撮影では、若いモデルが40,50代の女性を表現するのに、メイク、ヘヤーにも伊藤はこだわりをみせ、若さゆえの目の強さを抑えるために、視線を落とすように細かく指示した。

撮影時間に9時間を要し、やっと完成した。全力はつくした。後は、思いが伝わるかだけ。

3週間後、クライアントと試写に立ち向かった。伊藤のこだわり、「一つの服で三つの世代の女性が着こなす」。クライアントが映像を食い入るようにみる。そしてつぶやく「いいですね」と。

“思いは届いたと確信した”内部の人の手ごたえをもった。その自信を形にした。

伊藤の仕事への姿勢は、常に前のめりで、前進あるのみ。広報・PRとして裏方に徹しながらも、プライドをもって表舞台のブランドそのものの根幹にも食い込んでいく。それは、少しでも顧客に、クライアントに伝えたいから。“魅力的なブランド”なんだと。そう内部の人に、自信をもってもうために。

出過ぎないように、時として出る、そのめりはりと、心得をもったひとである。パッションの人だ。

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