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help RSS “自分”を消して、ヒットを生み出す グラフィックデザイナー・佐藤 卓

<<   作成日時 : 2010/11/30 10:42   >>

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あの日本一売れているガム「キシリトール」、日本一売れている牛乳「おいしい牛乳」、ロングセラーを続けているウィスキー「ピュアモルト」も全て、この男、グラフィックデザイナー・佐藤 卓の手によるもの。NHKプロフェッショナル「仕事の流儀」に登場し、デザインに賭ける思い、人生観を語り、忘れていたものを思い出させてくれた。

物が売れない時代に物を売る。小売業は、本当に今、厳しい環境にあります。毎日店に立っていて実感しています。そんなときに、ヒット作を連発するグラフィックデザイナー・佐藤 卓とは、どんな人物なんだろう?かって、40代の後半までアパレルで商品企画に携わっていた私としては、格別な思いで見ていた。

そうそう、ロッテの「クールミント」、栄養ドリンク「ゼナ」、私の地元神戸の「神戸コロッケ」も、佐藤が手掛けたデザインのスピリットが生きているんですね。こんなに身近にあったとは、知らなかった。

佐藤の仕事場は、銀座にある雑居ビル。スタッフ10名と同時進行の100件にのぼるプロジェクトをかかえ、仕事に没入している。佐藤は、世界各地を飛び回り、ポルトガルで開かれた「世界デザイン会議」に出席し、帰国した。現地に行けば、佐藤魂がめらめら。古本屋、雑貨屋、どこでもデザインソースとして興味をひくものを買い集める。

今回の案件は、茨城の「ほし芋」のデザイン。3年前から依頼をうけ、2年間情報を聞きとった。その結果、あえて凝ったイラストを使わず、無添加食品、素朴感を大切に、「ほしいも学校」というネーミングで打ち出すことにした。佐藤は、デザインは繋ぐもので、主役ではないし、気がつかれなくてもいい、そんな存在だと考える。

佐藤は、“自分を消す”に徹した。佐藤のデザインは全て「記憶」にのこる商品である。ロングセラーを続ける商品を多く輩出している。発売以来17年ロッテのクールミント、18年の大正製薬の「ゼナ」26年のニッカの「ピュアモルト」。そららには、強烈なインパクトを与えるものはないが、つい手にとってしまいたくなるものがある。

あっとおどろくデザインは簡単だと、佐藤はいう。それより、生活している人に寄り添う、それがポイントなんだと。自然にはいれることに題醐味を感じる。

佐藤の発想のポイント?
ひらめきや感性。1)商品の本質をつかむ2)機能をつきつめる。例えば、使いやすさを追求し、片手で開け閉めができたり、安心感を与えるように、残量がわかるように下部分を半透明にする。これが、佐藤のデザインマインド。

佐藤のデザインには物語がある。ロッテのクールミントの場合、右から2番目が左手を上げている。神戸コロッケの招き猫をみるとそれぞれ「コ、ロッ、ケ」と口元で示す。さりげない所に、ユーモアのセンスあふれるメッセージがこめられている。

佐藤の仕事は、打ち合わせ室で行われる。一回30分ぐらい、一日6〜7回。そこで、担当スタッフと丁々発止のやりとりをする。より高みを目指すために。佐藤は、クライアントに対するプレゼンに一つのこだわりをもつ。クライアントの意見を聞くことを大事にしている。

「壁を受け入れ、乗り越える」と表現する。
クライアントの意見を嫌がらず、自分の考えをごり押しせず、意見をポジティブにとらえる。

ヒット連発の佐藤のオフは、「サーフィン」。波は力でねじふせることはできない。それは、佐藤のデザイン精神にいきている。わずかな波を引き寄せ、相手に合わせるが、けっして媚びない。それを波が教えてくれた。

佐藤は、難しい案件を抱えていた。「神戸コロッケ」の本店建て替え。メニューも一新し、本店らしさの回帰をさぐる。「ただのコロッケがほしい」、難しい能書きはいい。佐藤は、クライアントと対峙する時、常に「依頼以上の仕事をする」に徹する。より以上のものがあれば提案し、言われたもの以上の仕事をする。

神戸の中華街にある神戸コロッケ本店。王道感を感じる。しかし、ガラスの陳列ケースのカーブ部分とプライスカードがかぶる。すかさず、佐藤が気付き、改良をもちかえる。

つまらない仕事がきたら?佐藤は、ためらうことなく仕事につまらないものはない。つまらなくはしない。おもしろくしてやろうと考えるもの。

佐藤は、こどもの頃から絵が好きだった。アーティストを目指し、一浪して東京芸術大学に入学した。しかし、アートで生活するのはむずかしいと、気付いた。就職活動し、広告代理店にはいる。しかし、思うような仕事はさせてもらえなかった。満たされない気持ちを当時ブームだったイラストの世界にぶつけ、片っ端からコンテストに応募するが、ひっかかりもしなかった。

後輩・日比野のようにグランプリをとり、世に認められるのを横目でみて、焦る毎日だった。2年の歳月がたち、ウィスキーのレイアウトの仕事をまかされた。佐藤が企画の中心だ。佐藤には、ウィスキーに対し、いいイメージがなかった。中年のもの。寝る間を惜しみ佐藤は、考え抜いた。

北海道の工場に行った佐藤は、そこで樽からウィスキーの原酒を飲んだ。一口飲んで驚いた。ピュアーな味わい。それから瓶のデザイン。これまでのゴテゴテしたデザインから、シンプルに。ヒントは理科の実験室にあった「薬品のビン」。透けて見え、首をみじかく、親しみやすくデザインした。メーカーの目にとまり、商品化された。

後のロングセラーウィスキー・ニッカの「ピュアモルト」の誕生である。発売以来120万本、絶賛を浴びた。佐藤は、世の中に自分のデザインが響き、共鳴できたことを実感した。この仕事をきっかけに、デザインの面白さ、陰で支えるデザインにのめりこんでいった。

新しい仕事「ふっくりんご」。イメージは高級。冷めても美味しい米。かわいらしい名前と高級感をどう両立させるか?デザインの担当者田久保が挑戦する。いろいろとデザインし、佐藤のチェックを受けるが、いずれも「デザインが出過ぎ」という理由で却下される。

そこで佐藤は、「アイディアの気配り」を田久保に伝える。長年繰り返し品種改良をした結果が現在にあり、函館のイメージを米の横に文字として配置してはと、提案する。創作漢字を考えようという。ホクレンの担当者との打ち合わせ。9月9日プレゼン当日。

1つ目自信作。しかし、それは佐藤からはいわない。先入観をもたずに互いに検討しようという佐藤の姿勢がそこにある。一つのデザインにホクレンの担当者の目がとまった。「米がダイヤモンドに見えた」と、喜びの声がこだました。
佐藤は、相手の意見に耳をむけ、デザインを磨き上げる。

佐藤、ブラッシュアップ。最終デザインが見えて来た。自分のデザインを何でわかってくれないと、そこで留まらずに常に良くしたいという思いに忠実にあろうする佐藤。4ヶ月間デザイン修正し、佐藤のマインドがクライアントに伝わった。

プロフェッショナルとは?
さりげなく仕事をする人。
頑張るとか一生懸命とか、
表に出すなって思うんですよね。
頑張るとか一生懸命とかって、当たり前だっていうことです。

「う〜ん」、これは、功なり名を挙げた人が、異口同音にいう。イチローは、自分の普段やっていることは、特別どうってことなく、さりげなく毎日同じことを繰り返している。桑田真澄も、自分をしっているから黙々と走った。いつしか「桑田ロード」と呼ばれるようになった。

どうしても、これでもかと、自分を見せたくなるものです。私の商売にとっても、お客様はクライアント。お客様の意見に耳を傾ける。そう素直になる。それが、以外と出来ていない。最近も反省することがあった。非は非として認め、よくするためには、相手の意見も取り入れる。振れ幅の広い人間を目指して、今日から、仕切り直しだ.。


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